病院で働く介護士はどんなことをするの? 病院介護と施設介護の違い
職種・施設別のお仕事内容
介護士の職場というと、特別養護老人ホームやデイサービスなどの施設が思い浮かびます。しかし、それだけではありません。高齢者向け療養型病院の増加といった社会的な背景もあり、病院でも介護職が求められるようになりました。そのため、20床以上の入院施設や病棟を備えた病院も、介護士が働く場のひとつとなっているのです。ところで、病院での介護は、どのようなことをするのでしょうか。病院で働く介護士の仕事内容やメリット、注意点について説明します。
介護士の就職先にはどのような場所がある?
介護に携わる介護士の就職先として多いのは、高齢者向けの施設です。具体的には、老人ホーム、デイケア、ショートステイ、デイサービスなど。さらに老人ホームは、いくつかのタイプに分けられます。そのほか、病院で働く介護士も増えてきました。簡単に、それぞれの職場の概要をまとめておきましょう。
介護付有料老人ホーム
行政から、「特定施設入居者生活介護サービス施設」の指定を受けている有料の老人ホームです。食事、入浴や排泄など日常生活に関わる介護のほか、心身の機能回復訓練など、自立して生活できるようにサポートをします。最期の看取りを請け負うホームも多いことから、終のすみかとして選ばれることも特徴のひとつです。
運営形態には、介護を必要とする人専用の「介護専用型」、介護の必要がない人も入居可能な「混合型」の2パターンがあります。
特別養護老人ホーム
いわゆる「特養」とも呼ばれる老人ホームです。地方自治体や社会福祉法人によって開設、運営されているため、どちらかというと公的な施設といえます。食事、入浴や排泄といった日常生活の介助のほか、機能回復のリハビリテーション、看護師の指導による日常生活管理などが行われることも特徴です。
入所できるのは要介護3以上の認定を受けている人で、高齢者であっても自立した生活が送れる人は、入所することができません。
有料老人ホーム
民間企業が運営する老人ホームです。最初に紹介した「介護付有料老人ホーム」のほか、高齢者が暮らしやすい住宅のみを提供する「住宅型」のホームもあります。
デイケア
「通所リハビリテーション」ともいわれる通り、利用者が通いながらリハビリを行う施設です。おもに医療機関に附属した施設となっていますが、介護サービスの提供をしているところもあり、介護士が働く職場のひとつといってよいでしょう。
ショートステイ
ショートステイは、「短期入所生活介護」ともいわれる施設で、在宅で介護を受けている人が、家庭に何らかの事情があったときに、短期間だけ入所できるという介護サービスです。運営形態は、特別養護老人ホームなどの施設で受け入れる「併設型」と、ショートステイ専門で運営する「単発型」の2つ。どちらの場合も、介護士は、利用者さんと生活を共にして介護を行います。
デイサービス
デイサービスは「通所介護」ともいいます。介護サービスを提供している特別養護老人ホームなどに利用者さんが通い、提供されているサービスが受けられるというものです。レクリエーションや身体機能の維持および回復を目的としたメニューが多く、高齢者同士が交流できる、リフレッシュできるといったメリットもあります。
病院
病院でおもに担当するのは、入院患者のケアとサポートです。例えば、ベッドから車椅子への移乗を手伝ったり、食事や入浴を介助したりします。そのほか、シーツの交換と洗濯、看護師の補助業務を頼まれることもあります。
病院で介護士として働くメリット
メリットのひとつは、福利厚生により、医療費の負担が軽くなること、病院関係のサービスが利用できることです。これは、介護施設にはないメリットといってよいでしょう。また、一概に比較することはできないのですが、介護施設よりも病院で働いたほうが、給与は高めになるといわれています。
どこが違う?病院介護と施設介護の仕事内容の違い
それでは、病院介護と施設介護の仕事内容にはどんな違いがあるのか、具体的に見ていきましょう。
優先度の違い
病院は、病気や怪我を治療することが第一目的であり、優先されることです。介護施設は、利用者さんにとっては生活の場であり、生活の一部。何を優先して対処するかが、病院と施設では大きく異なります。
利用している人の呼び方の違い
利用している人の呼び方も、病院と施設では違います。病院では「患者」、施設では「利用者」です。
レクリエーションの有無
生活の場である施設ではレクリエーションも取り入れられていますが、治療の場である病院には、基本的にレクリエーションはありません。リハビリのメニューとしてレクリエーションのようなゲームを取り入れているケースはあるものの、施設で行われるレクリエーションとは性質が違います。
また、施設では季節の行事なども積極的に行いますが、病院はやはり治療が優先です。医師や看護師など、医療従事者が中心となって働く場といえます。
病院で介護士として働く際の注意点
介護士として働く場合、将来的に介護福祉士を目指す人もいるのではないでしょうか。介護福祉士になる試験を受けるためには「定められた日数、介護の実務に携わった」という受験資格を満たさなければなりません。しかし、病院によっては、介護士として採用されたにもかかわらず、実務日数にカウントされないことがあるので注意が必要です。介護の仕事をするからには「介護福祉士になりたい」と考えているのであれば、就職を希望する病院がどのような方針をとっているか、必ず確認するようにしましょう。
介護士の職場は、施設だけではありません。病院も就職先として選択肢のひとつにすることができます。ただし、介護福祉士を目指す場合、病院の対応や方針によっては不利になることがあるので、気をつけましょう。もちろんメリットもありますから、自分のライフスタイルを考慮しながら、病院で介護士として働くことも検討してみてはどうでしょうか。